新型Ducati Panigale V4 S 2025年モデル徹底解剖:MotoGP直系の最速マシンがここに誕生!

新型Ducati Panigale V4 S 2025年モデル徹底解剖:MotoGP直系の最速マシンがここに誕生!

MotoGPで培った技術が市販車へ──ドゥカティの戦略とは

近年のMotoGPは「Ducati Cup」とまで称されるほど、Ducatiのマシンがグリッドの3分の1を占めています。単なる勝利のためだけでなく、データ収集の観点からもこの戦略は極めて合理的です。複数のトップライダーにデータを蓄積させ、開発チームがそれを活かすことで、現在のDucati MotoGPマシンは「誰もが乗りたい」バイクへと進化しました。その成果が市販車のPanigale V4 Sにも受け継がれています。

2025年モデル最大の変化:新設計ダブルスイングアーム

2025年型Panigale V4 Sで最も物議を醸している変更点が、伝統を捨てたダブルスイングアームの採用です。従来の片持ち式は美しさこそ際立ちますが、剛性やトラクション性能においては劣ります。ドゥカティは実際に両形式を比較し、横剛性を37%低下させることでより優れたメカニカルグリップを実現したこの新方式を採用しました。

さらにこのスイングアームとホイール、キャリパーを含む一体構造は、従来よりも約2.7kg(6lbs)軽量化されており、運動性能に貢献しています。

軽量化と剛性バランスが鍵を握るフレーム構造

フロントフレームも同様に刷新され、横剛性を40%削減、重量も17%軽量化されています。これによりライダーはより繊細なフィードバックを受け取りながら、限界領域での操作が容易になりました。結果として、馬力に頼らずともより速く走れるパッケージとなっているのです。

エンジン性能:出力以上に大切なのは「使いこなせるパワー」

エンジン自体は引き続き1,103ccのV型4気筒で、最高出力は約216馬力(ユーロ仕様)と微増。ただし本モデルでは「パワーアップ」よりも「パワーの制御性」に重点が置かれています。

オーリンズ製電子制御サスペンションがさらに進化

電子制御サスペンションも改良され、加減速時の荷重移動をより正確に制御。さらに公道走行時には自動で減衰力を調整し、快適性も向上しています。

新型ボディデザインと空力性能の向上

見た目については賛否あるものの、ボディ形状は空気抵抗を4%削減し、タンクやシートも再設計。ライダーのホールド性が増し、特にブレーキング時や高G旋回中の安定性が向上しています。

  • シート長:+約3.6cm(1.4インチ)
  • シート幅:+約5.0cm(2.0インチ)
  • ステップ位置:内側へ約1.0cm(0.4インチ)
  • 燃料タンク容量:約17L(4.5ガロン)

Race eCBSとDVOがもたらす究極の電子制御

今回初採用されたBrembo Hypureキャリパーは、従来比で約60g軽量化され、放熱性とパッド保持力が向上。さらに新開発のRace eCBS(電子連動ブレーキシステム)は7段階の設定が可能で、特に「Level 1」ではサーキット専用セッティングとなっており、フロントへの集中的な制動とリアの自動補助制動が組み合わされています。

また、「DVO(Ducati Vehicle Observer)」という新たなセンサーシステムは、IMUに加えて70以上の物理量を常時監視し、トラクションコントロールやウイリー制御の精度を飛躍的に向上させています。これにより、ライダーはより早く、より大胆にアクセルを開けることが可能になります。

結論:Panigale V4 Sは「乗れるMotoGPマシン」へ

2025年型Ducati Panigale V4 Sは、見た目こそ従来と変わらぬスポーツバイクに見えるかもしれませんが、中身は別次元の完成度です。MotoGPで培った技術が惜しみなく注ぎ込まれたこのバイクは、もはやプロだけのものではなく、一般ライダーでも限界領域を体験できるマシンへと昇華しています。高額(約5,200,000円/33,000USドル)ではありますが、その価格に見合う価値を十分に感じさせてくれる一台です。

ブログに戻る