
進化する万能アドベンチャー!2025年型ドゥカティ・ムルティストラーダV2徹底試乗レビュー
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2025年、ドゥカティはミドルクラス・アドベンチャーモデルである「ムルティストラーダV2」を大きく刷新しました。長距離ツーリングから軽いオフロードまで対応できる「マルチストラーダ=複数の道」を意味するこのバイクは、軽量化、効率性、扱いやすさに重点を置いた設計で、まさに“最も楽しく、最も使いやすいムルティ”と謳われています。
新型エンジン「V2」がもたらす軽快さとパフォーマンス
ドゥカティは長年採用してきたLツイン、テスタストレッタ、そしてデスモドロミックバルブ駆動を廃し、2025年モデルではバルブスプリング式の新型エンジン「V2」を搭載しました。排気量は890cc、ボア96mm×ストローク61.5mm、圧縮比13:1というスペックで、最高出力は115馬力(10,750rpm)、最大トルクは約92Nm(8,250rpm)を発揮します。
特筆すべきは、ドゥカティ史上最軽量となるこのV2エンジンの重さで、約54.4kg(120lbs)。937ccテスタストレッタよりも約5.8kg(12.8lbs)の軽量化を実現。水冷ポンプの前方シリンダーヘッド内への統合や、水・油熱交換器のVバンク内配置など、設計全体でコンパクト化と効率化が徹底されています。
伝統を捨てた新型モノコックフレーム
フレームは従来のスチール製トレリス構造を捨て、モノコック構造を採用。ステアリングヘッドとフレーム前部がエンジンおよびサブフレームに直接取り付けられることで、車体全体の軽量化と剛性アップに貢献。2024年モデルと比較して、約18kg(40lbs)もの大幅な軽量化を実現しました。
リアサスペンションは新設計のアルミ製スイングアームに、リンクレスでショックをほぼ水平に直接装着。これにより無駄のない応答性が期待できます。
先進のサスペンションと乗り心地
スタンダードモデルには45mm径のマルゾッキ製フルアジャスタブルフォークとザックス製ショックを搭載。一方、上位モデル「V2 S」ではセミアクティブ電子制御の「Skyhookサスペンション」を装備。Dynamic、Comfort、Low Grip、Off-roadの4モードに加え、自動レベリング機能と荷重設定(ソロ、荷物あり、2人乗りなど)が用意されています。
また、プリロードを0.3インチ(約7.6mm)下げるローダウン機能も搭載されていますが、座面の高さは調整式でも最低約830mm(32.7インチ)で、日本人ライダーにはやや高めかもしれません。
高性能ブレーキと足まわり
フロントにはブレンボ製M4.32ラジアルマウントキャリパーと320mmダブルディスクを、リアには2ピストンキャリパー+265mmディスクを装備。タイヤサイズは前120/70 ZR19、後170/60 ZR17のピレリ・スコーピオン トレイルIIを標準装備し、オン・オフ両対応の万能性を確保。スポークホイールもオプションで選択可能です。
充実の電子制御と快適装備
電子制御面では5つのライディングモード(Sport、Touring、Urban、Enduro、Wet)に加え、ABS、トラクションコントロール、ウィリーコントロール、エンジンブレーキ調整といった多彩な設定が可能。Quickshift 2.0、クルーズコントロール、USB-Aポート、ブレーキライトEVO、30秒後にライトが消える「カミングホーム」機能なども搭載しています。
V2 Sモデルでは、Bluetooth接続可能なマルチメディアシステムが標準装備。TFTディスプレイは「Road Info」「Road Pro」「Rally」と複数の表示モードに切り替え可能です。
オプション装備と価格
以下は代表的なオプション装備と価格の一例(参考レート:1ドル=約143.7円換算)です。
- ツーリングパッケージ(パニアケース、センタースタンド、グリップヒーター):約219,000円(1,523.76ドル)
- アーバンパッケージ(トップケース+タンクバッグ):約130,000円(907.23ドル)
- シート高調整オプション(+/- 20mm):約40,000円(275.40ドル)
- ローダウンサスペンション(20mm低下):約100,000円(703.80ドル)
車体カラーはドゥカティ・レッドのみで、スタンダードモデルの価格は約2,300,000円(15,995ドル)。V2 Sモデルは約2,780,000円(19,295ドル)から、ストームグリーン仕様は約2,830,000円(19,695ドル)と若干高め。アメリカでは2025年3月よりデリバリー開始予定です。
まとめ:軽さと多用途性を兼ね備えた最新型
徹底した軽量化と、電子制御の進化により、2025年型ドゥカティ・ムルティストラーダV2は真の「マルチ・ツール」へと進化しました。伝統に囚われず、目的に応じた最適解を追求するドゥカティの姿勢が随所に見えるこの一台は、長距離ツーリング、街乗り、時には林道までもこなせる万能アドベンチャーとして、日本のライダーにも大きな魅力を放つことでしょう。